ハリファックスを歩く 2
カナダ東海岸最大の港町ハリファックス南部に位置するInglis Street。

再開発などで古い町並みがどんどん失われていく中、この通りに並ぶ美しい

ヴィクトリアン家屋を残すために立ち上がった市民の努力により、現在この通りの

街並みが丸ごと同市の歴史的文化遺産地区として登録されています。

今日はそのInglis Streetとその界隈に建ち並ぶ美しいヴィクトリアン・ハウスを

ご紹介します。

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(通りの一コマ。)


まず、こちらのお宅から。

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1890年に建てられたものだそうですが、建築様式はその20年ほど前に

流行っていたセカンド・エンパイア様式的要素が採り入れられています。

この通りは1870年代~90年代が建設ラッシュだったため、ヴィクトリアン

黄金期の多様な建築様式を歩きながら楽しむことができます。


続いて、こちら。

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1841年に建てられたセカンド・エンパイア様式のお家です。

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家の古さを演出するために、あえて外壁のペンキが擦れたように塗られて

あるところがお洒落です。


屋根はセカンド・エンパイア様式特有のマンサード屋根で、ポーチの装飾は

ゴシック・リバイバル様式。

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究極の美の追求に貪欲だったヴィクトリアン期の人々は、一つの家に複数の

様式を混ぜたりもしました。


こちらの家はイタリアネート様式と呼ばれるものです。

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その名の通り、イタリアの古い邸宅にヒントを得たデザインで、北米では

1840年代からこのようなデザインの家が登場します。

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この家は1860年代頃に建てられたものと思いますが、比較的短期間しか

流行らなかったこともあってか、カナダ東海岸ではなかなかお目に

かかることができません。


こちらのお宅は1872年に建てられたもの。

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ご覧の通り、現在窓をお直し中です。

どの家も築100年以上経っているとは思えないほど手入れが行き届いていて、

住民の皆さんのプライドが感じられます。


ちょっと横道にそれてサウス・パーク通りのお宅を。

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1895年に建てられたクイーン・アン・リバイバル様式の豪邸です。


ドアが美しい・・・

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最後にご紹介するのはこちらの豪邸。

カナダ東海岸の公共建築物を多く手がけたジェームス・デュマレク氏による設計の

クイーン・アン・リバイバル様式のこのお宅は、ジョージ・ライト氏という

地元の裕福な実業家のために1903年に建てられたものです。

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1856年、農家に生まれたライト氏は、一念発起し船による世界旅行を計画。

途中に立ち寄った1876年のフィラデルフィア万国博覧会で世界各国の優れた

文明に感銘を受けた彼は、その後旅した世界各地の情報を集めた貿易目録を出版。

彼の貿易目録は好評を博し、瞬く間に億万長者になりました。

その後も世界各地を巡り、1912年英国に滞在していた彼は、新型の豪華客船の

切符を取りハリファックスへの帰路に着きました。

その船の名前は『Titanic』。


残念ながら彼が故郷へ戻ることは叶いませんでしたが、以前から慈善活動に

積極的であった彼の遺志に従い、この家はノバ・スコシア地方女性協議会へ

寄贈されました。

そして、この場所で活動していた『ノバ・スコシア・ファイブ』と呼ばれる

5名の女性活動家ら(『王様と私』のモデルとなったアンナ・レオノーウェンズが

その一人)の努力が実って、1918年これまで男性にしか認められていなかった

参政権が女性にも州レベルで初めて認められたのでした。


ハリファックスはタイタニック号の引き揚げが行われた町として知られています。

何気なく気になった古い家の歴史を紐解くと、そこに住んでいた人々の数奇な

人生を垣間見ることができ非常に興味深いと思うのです。



blog ただいま頭だけ夏毛。by小次郎
Posted by aomu0815
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[ヴィクトリアン・ハウス探訪
ハリファックスを歩く
カナダ東海岸最大の港町、ハリファックス。

かつてこの町の先人たちは海洋産業で莫大な富を築き上げました。

ダウンタウンに並ぶ古い家々を見ると、この町ががどれほど強力な経済力を

持っていたかを伺い知ることができます。

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(ガレージの扉に誇らしげに描かれているノバ・スコシアの州旗。)


このマンサード屋根がエレガントなお宅は、1865年に建てられたもの。

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一般住宅とはいえどレリーフの一つ一つの彫りが深くて、クオリティーが

非常に高いです。

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玄関ドアからちょっと中を覗いてみると、それはそれは美しい階段と扉が

見えまして、2重扉の間の床にはミントン・タイルが敷き詰められていました。

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(参考:ミントン・タイルの床。画像はお借りしています。)

英国の陶磁器メーカーであるミントン社が製造したこのタイルは19世紀当時でも

高級品で、比較的裕福な家庭でないと手に入らないものでした。

こんな裕福な人が建てたお家が、今では手頃な賃貸アパートになっていると

いうのはなんとも皮肉な話です。


木造のお宅はカラフルにペイントされているものが多いです。

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家の色合い、あえてかぶらないようにしていますよね。

そして、どことなく調和が取れている・・・

ペンキ塗り替える時には、、ご近所さん同士で「うちは今度何色に

するわー」などと話して決めているのでしょうか。

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一方で、後ろにどーんと立ってるビルがなんともミスマッチです。

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夫はいつもの『チェック』中。

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残念ながら何者かによって取り外されていました。

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ここの家主さんはこのドア、どうやって開けてるんでしょう。


夫はなかなか素敵なアンティークドアノブを見つけられない様子ですが、

ヴィクトリアン中期特有の彫りの深い装飾はどんどん見つかります。

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どの家も一つとして同じものはなくそれぞれに凝ったデザインの家々を

見ていると、ヴィクトリアン期の大工、建築家、家主の皆さんが

『何でもできたんだぞ』と揺るぎない自信を持って静かに主張している

ように感じられるのです。



blog こんな特集ありました。by小次郎

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[ヴィクトリアン・ハウス探訪
1ドルの物件
今日のヴィクトリアン・ハウス探訪は、英語と仏語が行き交う町ニュー・

ブランズウィック州のモンクトンよりお届けします。


まずはセカンド・エンパイア様式のこちらのお宅から。

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サイディングの一部とポーチのガラス窓をお直し中のこのお家は1870年代に

建てられたもの。

ついこの間までお洒落そうなカフェだったので、一度行こうと思ってぐずぐず

していたらいつの間にか潰れてしまいました。(現在売り出し中です。)


続いてこちらのお宅。

ウワーオー!!これは目が覚める!!

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改修工事中の我が家も結構カラフルだと言われますが、この家主さんの

大胆なカラーチョイスには脱帽です。

ヴィクトリアン・ハウス特有の装飾の魅力を余すところなく引き出していて

素晴らしいの一言に尽きます。


次はこちらのお宅。

1軒目と同じく売り出し中ですね。

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19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行ったアーツ&クラフツ様式が

取り入れられており、シンプルな中にも曲線と直線を上手く使い分けた

味わいのあるデザインです。


続いてはこちらの豪邸。

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ゴシック・リバイバル様式を基礎としながら、ネオ・クラシカル様式を

取り入れた興味深いデザインです。

玄関から2階へすっと伸びる4本のコラム(円柱)が格好いい!


こうした素敵なお家たちがいったいどれくらいの価格で買えるのか気になる

ところですが、最近ここモンクトンではカナダの全国ニュースで取り上げられる

お買い得物件がニュースになったのです。

それがこちら。

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(画像はお借りしています。)

これはもはや築約100年の家というより城・・・なんですが、先日699,000カナダ

ドル(日本円で約7700万円)で売り出されました。

トロントやバンクーバーに建つちっちゃな中古の一戸建てとほとんど値段が

変わらないということで、都会に住む人たちは「安い城だ~!」とびっくら

こいたようですがここマリタイム(カナダ東海岸)ではなかなか買い手が

見つかりません。


同じく、買い手を募集中なのがこちらの物件。

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以前当ブログでもご紹介したことがあるのですが、これは同州のサックビルと

いう町に建つ教会です。

販売価格はなんと驚愕の『1ドル』!

これなら安月給の私でも買えるのに、なぜ売れないのか??

それは買った後に以下に挙げるような点が問題になるからです。


・使い道をどうするのか?(個人宅にするのか、商業施設にするのか?)

・莫大にかかる維持費(光熱費など)。

・さらに莫大にかかる改修費用。

・ロケーションに問題あり。(都会とは異なり莫大な改修費用を捻出できる収入を
得られる仕事を見つけるのが困難。)


例えば、モンクトンの城はちゃんと直そうと思うと少なくとも2億円はかかると

言われています。

ですので『7700万円』の買い物といいつつも、実際は『約3億円』の買い物だと

いうことです。

それでも人にとっては安いと思うのかもしれませんが、数年間不自由な暮らしを

強いられながら改修工事に励むのは結構大変です。


かといって、このまま朽ち果ててしまうのは残念すぎるヴィクトリアン建築たち。

お金に余裕があって気概のある方、マリタイムはそんなあなたをお待ちしています。笑




blog リタイアライフにマリタイムは案外おすすめ。by小次郎
Posted by aomu0815
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[ヴィクトリアン・ハウス探訪
ゴシック・リバイバル・ハウス
19世紀後半のヴィクトリアン期にカナダ(北米)でも流行ったゴシック・

リバイバル様式[*]。(*中世ヨーロッパのゴシック芸術の復興運動。)

本場ヨーロッパではもちろんのこと、北米でも同様式の建造物は教会などの

多くの公共施設で現在も見ることができます。

Parliament Building
(例:カナダの首都オタワの国会議事堂)


そして、この様式は当時建てられた一般の民家にも多く取り入れられました。

その主な特徴としては、


・急な傾斜の屋根

・ジンジャーブレッド(トリムワーク)

・尖ったアーチ型の窓

・レイアウトが左右対称 など。


その他には、トライフォイル(三つ葉模様)やクォーターフォイル

(四つ葉模様)が装飾デザインとして多用されていることが挙げられます。

改修工事中の我が家もゴシック・リバイバル様式なので、トライフォイルと

クォーターフォイルを取り入れたデザインにお直し中です。

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トライフォイル・アーチ型の窓はものすごく素敵なんですがなにせ(価格が)

高いので、我が家はごく普通の長方形の窓で妥協しました。

その代わりに出窓部分の窓と窓の間にトライフォイル・アーチをアレンジした

デザイン[**]を取り入れました。

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(**この部分です。)



今日は、カナダ東海岸に建つゴシック・リバイバル様式のヴィクトリアン・

ハウスをいくつかご紹介したいと思います。


まず、こちらは義父母の家の近所にあるお宅。

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一般道からちょっと奥まったところに建っているのが贅沢で良いですね。


窓の装飾にトライフォイルが使われています。

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このお宅も窓の形が長方形であることから、その代わりに1階と2階の窓を

つなぐウッドパネル部分のデザインにトライフォイルアーチを取り入れる

工夫が施されています。


続いてはこちら。

NB州サックビルに建つお宅です。

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おそらく1860年代に建てられたもので、繊細というよりははっきり・くっきり、

シンプルかつ大胆なデザインです。


ほぼすべて白いペンキで塗られてしまっているので装飾デザインが目立ちにくく

なっていますが、よく見るとゴシック的要素がたっぷりのお宅です。

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最後に、同じ町にあるこちらのお家が私のお気に入り。

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ウッドパネル、ペンキの色のチョイスと塗り分け方、finial(屋根の上の尖がり)、

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贅沢な6角形の正面玄関ポーチとトリムワーク。

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カメラのレンズをズームインしてもズームアウトしてもハンサムなお宅です。

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この家のデザインは純粋なゴシック・リバイバル様式というよりは、その後

流行ったクイーン・アン・リバイバル様式の混合が見られるため、1880年代

後半から1890年代にかけて建てられたものと思われます。


ゴシック・リバイバル様式の建物は築150年前後のものが多く、老朽化が

進みだんだん数が少なくなってきています。

しかし、このお宅の家主さんはここ最近外装をきちんとお手入れされた

ばかりのようです。

こうしてあと数十年は生き残るであろう家を見つけられるとうれしくなります。


blog 真央ちゃんのFP見てKemu号泣。by小次郎
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[ヴィクトリアン・ハウス探訪
みんなでお手入れ中
ファンディ湾に面する小さな町パーズボロを歩いています。

地元の車修理屋さんにはヴィンテージのガスポンプが並んでありました。

これもまた車社会の北米らしい風景のひとつです。

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これらは1920~30年代に使用されていたもののようですが、今の

ガスポンプと比べてデザインが断然おしゃれですね~。

実際、北米ではヴィンテージカー・バイクコレクターに負けず劣らず

熱心なガスポンプコレクターもいるそうで、集めたくなる気持ちが分かります。


さていつもの調子に戻りますが、パーズボロにはユニークなデザイン・色使いの

ヴィクトリアン・ハウスがたくさんあります。

こちらはクリスマスカラーのおうち。

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まわりのカエデの大きな木々が家の古さを物語っています。


このお宅はタワーもジンジャーブレッドもサンルームも玄関ポーチも付いた

ヴィクトリアンらしい贅沢なデザイン。

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お庭のお手入れも行き届いています。


こちらは個人的に気に入っているゴシック・リバイバル様式のお家。

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屋根の形に沿って黒いペンキで強調したトリムラインがおしゃれです。

差し押さえの紙が貼られていて今は誰も住んでいないようですが、

なんだかハロウィンのお化け屋敷にぴったりの雰囲気です。(一応褒めています。)


こちらはクイーン・アン・リバイバル様式のB&B。

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おおーオーナーさん、屋根を葺き替えたんですね!!

キラキラのコッパールーフ(赤銅屋根)だ~かっこいい!!

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参考に一年前の写真を。

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がらりと印象が変わりましたね。

19世紀のヴィクトリアン・ハウス(特に公共施設)の屋根には赤銅が

使われていたことが多かったのでこの屋根は本当に大正解。

ただ費用がかかることからなかなかお目にかかることはできないので

拝んでおきました。


最後にペンキ塗り替え中のお宅を発見。

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以前は白地に青いトリミングが施されていたこのお宅は、クリームイエロー地に

赤・青のトリミングが加えられて変身中。

一色増えるだけでものすごく雰囲気が変わりますね。

私が写真を撮らせてもらっていると、作業中のお兄さんに「新しい色どうかなー?」

と聞かれたので「めっちゃええ感じですー!」と答えると、お兄さんはうれしそう

に笑いました。


こうして町の人々が自分たちで家のお手入れをがんばってる様子を見ると、

自分たちだけじゃないんだと勇気付けられます。



blog 朝晩冷え込むんで冬毛が早く欲しい。by小次郎
Posted by aomu0815
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[ヴィクトリアン・ハウス探訪